夢にも思わない結末だった。きっかけは、その年の人事。それまで鋳造課で働いていた智志さんが、理恵さんのいた、当時の機械課に配属された。
2人は同じ高校の卒業生だ。とは言え、理恵さんが年齢も社歴も3つ上。それまで勤務が異なる工場だったこともあり、ほとんど話したことがなかった。
実は智志さんは、同窓ゆえの親近感をもっていた。だが、その思いはすぐに消えたと言う。
寳藏智志と寳藏理恵2人は夫婦。九州タブチの同僚であり、妻が3年先輩になる。結婚以来、二人三脚で家事をこなしながら、それぞれ仕事に打ち込んできた。
最初はぎこちなかった結婚生活も、夫として、妻として、気がつけば、ずいぶん板に付いてきた。
仕事の充実感と、家庭の充足感を、ありふれた日常に感じている。
夢にも思わない結末だった。きっかけは、その年の人事。それまで鋳造課で働いていた智志さんが、理恵さんのいた、当時の機械課に配属された。
2人は同じ高校の卒業生だ。とは言え、理恵さんが年齢も社歴も3つ上。それまで勤務が異なる工場だったこともあり、ほとんど話したことがなかった。
実は智志さんは、同窓ゆえの親近感をもっていた。だが、その思いはすぐに消えたと言う。
智志怖かったんです。工程上、僕が加工した部品を彼女が組み立てる流れでしたが、ときどき「不良が出てますよ」と、厳しく指摘されて…。また言われはしないかと、ビクビクしていました。
そんな2人も、職場の仲間たちとの集いには積極的に参加した。食事や遊びの時間を共有する中で、理恵さんは智志さんに少しずつ惹かれていった。
理恵純朴で、裏表のまったくない人です。仕事のことや将来の夢など、とりとめのない話を繰り返すうち、いつしか結婚を意識するようになりました。
2017年2月、2人は、仲間たちの盛大な祝福を受け、式を挙げた。現在、製品づくりに汗を流す2人の日常に変わりはない。理恵さんの姓だけが変わった。
結婚生活を重ねるほどに意識することがある。子どもだ。新しい家族の誕生を2人は切に願っている。
2人で描く家族の未来図。理恵さんは、将来、出産した後も仕事を続けようと考えている。
理恵入社したときから、仕事は定年まで続けたいと考えていました。社内でも、産休を取って復帰することが、ごく自然な流れになってきました。周りの人たちもきっと支えてくれると信じています。
結婚以来、家事はずっと分担している。智志さんも、仕事と育児の両立を大切に考えている。
智志早く子どもがほしいですね。家事だけでなく、子育ても一緒に頑張りたい。妻とは、彼女の育休の後に、僕が育休を取れたらいいね、と話しています。
結婚から約2年を経て、2人は霧島市内に新居を建てた。
念願のマイホーム。週末には、会社の仲間たちとバーベキューを楽しんだりする。
笑い声が響く団欒の輪の中に、ふと、まだ見ぬ愛児の姿を思い描く。