「ウィーン……ウィーン……」
工作所の中に、金属の鋭い加工音が断続的に響く。機械をじっと見つめる萩原さんの眼差しは真剣だ。
初めて自身に与えられた治具の設計・製作業務。研修期間中の課題の1つではあるが、モノづくりができる喜びに思わず力が入る。
鹿児島県鹿児島市出身/国立鹿児島工業高等専門学校卒
地元の工業高等専門学校を卒業して、20歳で九州タブチに入社した。機械の操作法をはじめ、習得するべき技術や技能は未だ多い。懸命に仕事に取り組むなか、瞬く間に過ぎていく毎日。それでも日常的に、達成感や充実感が得られていると言う。今日も、焦る気持ちを抑えて、与えられた課題と向き合う。いつか九州タブチの確かな力となることを胸に期して。
萩原 小夜生産技術課に勤務する。
業務は、工具などを改良したり、開発したりして、生産現場を支援することだ。在学中にインターンとして働いた際、学校で学ぶ知識が、実際どのように役立てられるのか、初めて目の当たりにして新鮮な感動を覚えたと言う。
以来、自身の中で、モノづくりの楽しみはふくらむばかりだ。
「ウィーン……ウィーン……」
工作所の中に、金属の鋭い加工音が断続的に響く。機械をじっと見つめる萩原さんの眼差しは真剣だ。
初めて自身に与えられた治具の設計・製作業務。研修期間中の課題の1つではあるが、モノづくりができる喜びに思わず力が入る。
萩原部品の切削に使う治具を製作しました。加工物を固定するチャックの爪と呼ばれる治具です。鋳造した物をスムーズにつかむために、特殊な形状が必要でした。設計の段階からすべて任されたので、プレッシャーも感じましたが、夢中で取り組みました。
治具製作に使うのは、コンピューター制御で精緻な加工を施せる工作機械・マシニングセンター。先輩に操作を教わりながら、自ら書き上げた設計図通りに仕上げていく。
萩原出来上がっていく過程にワクワクしました。何もないところから、条件やニーズに合わせて設計して、画面上に形作った物が、施工によって実物化していく。とても小さな治具でしたが、私の中では大きなやりがいがありました。
先輩に微調整こそしてもらったが、ゼロから一人で造り上げた。完成した治具は、すでに機械課内で使われている。
「ねえ、一緒に食べようよ。」
「はい。お茶を汲んできますね。」
昼休みの食堂で、同世代の社員たちが親しく声を掛けてくる。昨日は、また別の課の女性たちと食卓を囲んだ。入社してすぐに、多くの仲間ができた。
萩原皆さん、所属に関係なく、当たり前のように話しかけてくれます。会社のイベントを通して、仲良くなった人もいます。所属の枠を超えて、仲間意識がとても強い会社です。
「もう少し、角を削りたいんです。」
「だったら加工プログラム、こう変えてみたら?」
5年間学んだ高専では、多くの知識を得た。だが、実戦となると勝手が違う。工作機械のプログラミングなど、分からないことばかりだ。先輩たちに、毎日のように質問する。
萩原臆せずに、何でも聞ける職場なんです。「技術は見て盗め」とか、職人の世界でイメージしていたような教え方とはまるで違って、分かるまでていねいに教えてもらえます。1つ1つ親身になってくださるので、申し訳ないくらいです。
生産技術課では、唯一の女性。しかも同期入社の社員は全員異なる部署に配属された。独りになる時間が多いのかな、という配属前の想像は、極めて良い意味で裏切られた。